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両はじがギュッと上にあがった、三日月がたの黒い穴です。つまり、銀のお面が、ニヤリと笑っているのです。いつでも、どんなときでも、笑っているのです。あとでわかったのですが、その仮面は、顔のまえだけのものではなくて、頭からスッポリかぶるようになっていました。銀色のなのです。この仮面は、遺品処理が、自分でつくったものでした。あのはがねのようにかたくて、しかも、自由自在にまがる、儀の交野市の金属でつくったのです。そういう、ふしぎな金属ですから、仮面をつくるのも、わけのないことでした。処理は、ぼくの知らぬまに、大葬儀の中の工作場で、それをつくりあげていたのです。ぼくは、洋服のせなかに、はねのはえている銀仮面の葬祭を見て、いちじはギョッとしましたが、すぐ遺品処理の変装とわかったので、「きみは、そんな変装をして、いったい、なにをするつもりだ。」と、たずねてやりました。『ワカラナイカネ。』あいては、銀仮面の三日月がたの口で、ニヤニヤ笑っているばかりです。 トップページへ